2017.01.29
インドは変わる予感がする。 そう思わせてくれるのが、2014年5月に首相に就任したナレンドラ・モディ首相です。 約13年間、西部のグジュラート州の知事として、目に見える近代化の実績をあげてきた人です。 この人なら横のものを次々に縦にする。 そんなエネルギーとバランス感覚に優れた頭脳を感じさせてくれる首相の登場です。 昨年11月の高額紙幣の突然の廃止から約3ヶ月が経ちましたが、12億人の国でこれだけの大事業を大した混乱もなくやり遂げ、その手腕を遺憾なく発揮した良い例でした。
一方でインドには変わらないものもある。 ヴェーダの時代と言われる紀元前15世紀頃からの、修練を通して至高の境地を体現しようとする伝統です。 そこにはタージマハールに代表されるインドの観光地への訪問とは、また一味違った体験が待っています。
今回は、そのような古代の叡智や、またヨーガの世界への玄関口とも言える北インドは、ウッタラカンド州のリシケシという町へとご案内したいと思います。
この町にパッケージ旅行は似つかわしくないですし、当番の知る限りほとんどありません。 日本から飛行機のチケット、リシケシまでの移動、そして宿坊とでも言えるアシュラムでの滞在がセットになっているパッケージはあるようです。 しかし、そこでの過ごし方は自分で決めることになります。
世界各地の旅行ガイドブックを開くと、宿のリスト、食べる所にはこんな所がありますよ、見所はこんな場所がありますよ、と平板に記述されているものがほとんどのような気がします。
行ったことのない場所で、その数行の説明から宿を選び、食べるところを決め、観て回るところを選ぶのは実際、当たりと思える時もあれば、がっかりも経験します。 俺流、私流の”ダーツの旅”をその町の中でやっているようなもの。 独断と偏見で良いから、こうやって過ごして!と決めつけてくれるガイド本がないものかと、当番はいつも思っています。
当番が知っているそういう”決めつけて”くれる旅のガイドの一つは、ユナイテッド航空という飛行機会社の機内誌で連載されている、『3日間の完璧な過ごし方』という世界の都市案内です。 このシリーズでは、東京とかバンコクといった都市を選んで、その町で3日間過ごすならこうするといいですよ、とその書き手の趣向で、1日目の朝から3日目の夜まで、順番に行くところと、そこでやることを示してくれます。 勿論、その通りに行ってもいいし、このレストランは自分の趣向に合わないから、それは別に選んだところに変更したり、という使い方をして楽しむことが出来ます。 書き手はその町に長年住んでいる人ばかりなので、住人しか知り得ないような場所も多く、無駄の少ない、濃い旅が出来ます。
そこで今回は、当番が勝手に決めてこう旅した、というルートを数回に分けて旅行記にしてみます。 情報は、2017年1月現在のものです。
第1日目:
日本を午前中に出発する便でデリーに向かいます。 これですと、夕刻の早めの時間にデリーに着けます。 税関を終えて、飛行場を出ると予約しておいた運転手さんが迎えに来てくれています。
デリーの旅行会社で、当日1泊のホテル、飛行場への出迎え、翌日のデリーからハリドワールという町までの特急列車の座席指定と乗車券をセットで予約しておきます。
ホテルはニューデリー中央駅(駅コード=NDSL)に歩いていけるか、もしくはオートリクシャと呼ばれる3輪車のタクシーで10分以内で着ける所に取ると良いです。 なぜなら、翌朝に乗る特急列車(シャブディ・エキスプレス)がデリー駅06:45発と早いからです。
ニューデリー中央駅前から伸びるバックパッカー用の宿が集まる“パハールガンジ”と呼ばれる一帯があります。 ここに泊まる人が多いですが、そこから少し北でやや静かな“ラーム・ナガール”という地区の”Grand Godwin Hotel”
というホテルに今晩は泊まります。 ニューデリー中央駅まで徒歩5分です。 デリー空港での車での迎え、朝食付きの部屋代で、3000円ほどです。 それでこの界隈にしては、清潔な部屋です。
近所に同系列の”Godwin Deluxe Hotel”というのがあり、少し安いですが、”Grand Godwin”の方が駅に少し近いです。 翌朝はホテルを6時には出発することになるので、寝るだけと割り切って、泊まるところを選びます。
チェックインしたら、静坐や瞑想で乱れたヴァータを整えて、ホテルのレストランで軽く食事。 基本的にインドご飯のメニューです。 寝る前にホテルの近所を少し散歩しても良いですが、観光客目当ての、変な人が寄ってくることがあるので、如何なる勧誘にも耳を貸さないようにした方がよいです。 翌朝は早いので、早めに休みます。
日本からSIMフリーの携帯電話と証明書写真を1枚(大きさは特に規定なし)を持参すれば、インドのSIMカードが購入できます。 宿のフロントで、近所の携帯電話屋さんを教えてもらいます。 インド国内で携帯電話が使えると、宿の確認、運転手さんとの待合場所の確認など、大変重宝するのは言うまでもありません。 勿論、日本で携帯電話をレンタルしてもよいですが、やや高額になります。
また、日本で使っている携帯電話で国際ローミング対応機種であれば、インドでも使えます。 自分が発信する時は、インド国内通話になりますが、受信する時は、相手に日本の携帯電話番号にかけてもらう必要があるので、相手に高額な国際電話をかけてもらう事になってしまいます。
*Grand Godwin Hotel: http://www.godwinhotels.com
第2日目:
目覚ましが4時半に鳴りました。 シャワーを浴びてから、呼吸法をして静坐。 身支度をして、ホテルを6:10に出ます。 歩いて行くことも出来るのですが、荷物をガラガラと引いて歩くので、オートリクシャに乗ろうかと思っているとホテル前に数台止まっています。 交渉して40ルピーで、デリー中央駅まで行ってもらうことにしました。
24時間、町中にいる3輪のオートリクシャー。 これを乗りこなせると、インドの町の中の移動は楽になります。 しかし、いつもぼったくられないかと思いながらの交渉は、骨が折れるもの。 それはこちらが目的地までの相場料金がわからないからです。 ホテルのフロントで、ここからデリー駅までの運賃はどのくらいが適正か、あらかじめ聞いておきます。 そうすれば、自信を持って、ドライバーと価格交渉が出来ます。
さて、ニューデリー中央駅に着くと、荷物運びの組合のメンバーが大きな荷物を持った観光客を待ち構えています。 オートリクシャを降りるなり寄ってきますが、反応しないでどんどん駅の構内に歩いて行くか、首を左右に振って”No!”を伝えます。
また、駅に入る時に切符を見せろ、と声をかけてくる人がいたりしますが、駅員がそんなことはしませんので、一切取り合わないようにします。 あなたの切符は無効だ、という詐欺があるので気をつけます。
駅ではエレベーターがなく階段の上り下りがあるので、荷物運びの人を雇うこともできます。 スーツケース1個、100ルピーとか言われたりしますが、交渉です。
今朝乗車する列車は、Deharadunという町が終点のShabdi Express12017号です。 ガイドブックなどには、駅で自分で買えるとありますが、その手間や行列に並ぶことを考えれば、わずかな手数料で旅行社に手配しておいてもらうのが得策です。
その他にネットでの手配に慣れている方は、Cleartripというサイトから直接購入したり、インド国鉄のサイトからも直接購入する手もあります。
*Cleartripのサイト(インド国鉄のユーザー登録必要):https://www.cleartrip.com/trains
*インド国鉄のサイト(ユーザー登録が必要):https://www.irctc.co.in/eticketing/loginHome.jsf
さて、ニューデリー駅では、自分の乗るDehradun行き、6:45am発の列車が何番線から出発するかを電光掲示板で確認します。 そして階段を登って、跨線橋を歩き、所定のホームで階段を降ります。 当番の知る限り、エレベーター、エスカレーター無しなので、荷物を持って階段を登り降りします。
自分の予約を書いた紙から、車両番号に当たる”Coach No.”を探しておきます。 これが何号車に当ります。 なお、この特急列車は、グリーン車に当たる”Executive Chair”クラスという車両が2両(E1のような車両番号)、その他10数両は”AC Chair”(C8のような車両番号)となります。 料金は、グリーン相当が約2000円、普通車相当が約1000円です。 共に朝食付きです。
さて、列車が出発の10分ほど前にホームに滑り込んできました。 さて、自分の乗る車両を見つけなければ。 車両の横にその番号が書いてあるので、探します。
自分の車両を見つけたら、重いスーツケースを持ち上げながら乗車です。 そして再びチケットをチェックして、座席を確認です。 座席番号は、”Seat No.”という表示で、“51”とかの要領で書かれてあるので、その座席を探します。
自分の席にどっかと座り、下車するハリドワール駅までの263キロ、4時間40分の特急列車の旅が始まりました。
出発して1時間ほどすると、朝食サービスの始まりです。 飛行機のように、こちらは席に座っているだけで、給仕の人が次々にお茶や、食事のサービスを届けてくれます。
インドで食事の出る特急列車や、国内線の飛行機などで出される食事では、『ベジですか、ノンベジですか?』と聞かれます。 菜食主義の人用とそうでない人の2種類の食事が用意されています。 それもそのはず、インドの人口の実に6割の人が、肉や魚を食べない菜食ですから。
車窓からの北インドの大地を眺め、昨晩の寝不足でウトウトしていると、ハリドワール駅に到着です。
ここはその地名が、ハリ=神、ドワール=扉であることからも想像着くように、ガンジス川源流へと辿る聖人達が住むというヒマラヤの奥地への玄関口の町でした。
この町自体も、ガンジス川に面した巡礼地であり、『クンバメーラ』と呼ばれるヒンズー教の巨大なお祭りが12年に1度開かれる町でもあります。
ここでも、運転手さんを手配しておいたので、名前のカードを持って待っていてくれました。
今回はまず万華鏡の中に迷い込んだような小道に、小さな商店が軒を連ねるモティ・バザールを歩き、”ダンダ”と呼ばれる巡礼者が持つ竹で出来た杖などをチェックします。 それからガンジス川の沐浴場であり、聖都ハリドワールの中心である“ハリ・キ・パイリ”に立寄ります。
このハリキパイリでは、インド各地からの多くの人が沐浴する為に来ています。 そこで、祈祷(プージャ)をやってあげるよ、と寄ってくる怪しげなお坊さん風の方もいますので、気をつけられたほうがいいでしょう。
もし、ハリドワールで一泊出来るなら、日没にハリキパイリで行われる『アーラティ』と呼ばれる夜のお祈りは幻想的で素晴らしいです。 その場合の宿のお勧めは、”Ganga Lahari Hotel”になります。 ホテルの目の前がガンジス川で、ホテル専用の沐浴場(ガート)で、足を川に突っ込んで沐浴した気分になれます。 前世の罪を洗い流したいのであれば、ヒンズー教徒の人は3回、全身をガンジス川に沈める沐浴をして、祈っています。
それでは、車に戻っていよいよリシケシの町へと向かいます。 車で1時間の道のりで、このまま本日の宿に直行です。 では、続きの第2回の旅行記をお楽しみに。
*Ganga Lahari Hotel: http://www.gangalahari.com
*さらにアップスケールしたホテルを望まれる場合は、Haveli Hari Ganga Hotelがお勧めです。:http://www.havelihariganga.com
(このブログでのお勧めや紹介した施設等は、当番の個人的な見解に基づくものであり、その良さ等を保証するものではありません。 この中の情報を参考にされる場合は、自己責任でお使いください。)