2016.09.17
ついこの前まで、北海道には梅雨もないし、台風だってこない、って言われていませんでしたか?
今年の6月の帯広地方では、月の半分はずっと雨。 これって梅雨かしらん!?
今年の8月には台風が3個上陸して、あと1個はかすって通過して、18の河川が氾濫し、入植した祖父母の代から100年かかって作り上げた畑の肥沃な表層土が流され、快復するのに10数年かかると、農家は呆然。 道路や鉄道は寸断されて未だに復興の見通しが立ってないところ多数。 これも北海道の話です。
小笠原諸島に近い、台風の発生地としては極めて北の海域で発生した今年の台風10号は、なんと南下して!?沖縄の方まで行ってしまい、それからUターンして岩手県に上陸して北海道を突っ切る、という未だかつてなかった動きで、政府が激甚災害と認定する被害が出ました。
素敵な宇宙船地球号に何が起こっているのか? 地球温暖化は我々が住めない地球になってしまいますよ!!!、と言う警告が科学界から出され、南の島国が海面上昇で沈んでしまう、といったニュースをどこか遠くの世界の出来事のように聞いていたのは、20年ほど前でしょうか。 それがいよいよ日本に住む我々が実感する形でやってきました。
都会に住んでいる方は、ゲリラ豪雨に温暖化の脅威を実感する機会が増えているはずです。1時間に80ミリ程度の雨が降るゲリラ豪雨が頻繁に起こることは、すでに実感している人が多いことでしょう。 1時間100ミリの雨が、2時間続くと東京などでは、雨水の下水の処理能力を越え、雨水が地下に流れ込みます。 地下街や地下鉄を利用している人にとっては、命の危険を感じる事態です。(激しい雨が降りそうな予報は、「高解像度降水ナウキャスト」があります。その情報が取り込まれるアプリが色々出ていますので、それを使うのがお勧めです。http://www.jma.go.jp/jp/highresorad/)
一休さんが自分の死期が近づいてきた時に詠んだ狂歌に、『昨日まで人のことだと思いしに こんだおいらか こいつアたまらん』というのがあったような。。。 ちょっと他人事のように感じていたかも知れない温暖化、我が身に降りかかるのも時間の問題との思いを強くした、今回の台風10号等の風雨の威力と動きでした。 これからもっともっと強い台風が、たくさん来ても少しもおかしくない世界を私たちは生きています。
現に、今月の台風14号は台湾の南を通過して日本には来ませんでしたが、中心気圧890で、最大瞬間風速100メートルを越えていました。 風速100メートルは、時速360キロの乗り物から上半身を乗り出す感覚です。 風速70メートル(時速250キロ)ですと、風圧だけで普通のガラスは割れてしまうとか。
45億年前の太古の昔、地球の二酸化炭素濃度は80%もありました。 人間は二酸化炭素濃度が3%で窒息するので、それでは生物としてそもそも誕生できない。 その二酸化炭素が海に吸収され、それらが地殻に取り込まれ、大気中の二酸化炭素濃度はぐんぐん下がっていきました。
恐竜が地表を跋扈していた1億5千万年前のジュラシック紀、今のアラビア半島の辺りは海であり、海中にはプランクトンやバクテリアに溢れかえっていました。 それらが海面で太陽の光を浴び、やがて現代の私たちがガソリンやペットボトルとして使う原油をもたらしました。
要は、二酸化炭素が石炭や石油の形で地下に閉じ込められてくれたお陰で、我々人類が住みやすい地表の環境ができていたわけで、石炭や石油を燃やすことは、とても住めない太古の環境に大急ぎで、逆戻りさせていることに他ならないのです。
この大きな図式が見えると、温暖化で登場する『カーボン・ニュートラル』という概念も理解しやすくなります。 木材は、地表の二酸化炭素を吸収して固定化してくれます。 だから、木材を燃やしても元々地表にあった二酸化炭素を放出しているのだから、炭素の収支はプラスマイナスゼロだ、というもの。 薪で五右衛門風呂を沸かすとカーボン・ニュートラルだけど、ガスでお風呂を沸かすと温暖化に貢献してしまう。
だったら木を切っていいのか、となると、切った分だけ植林などで元に戻さないと、炭素は放出されるほうが多くなってしまう。
人類は地下から掘り出した銅や鉄、そしてシリコンなどの鉱石を使って文明を作り上げてきました。 ところが、同じ地下から掘り出すもののなかでも、石炭や石油はそれまでの鉱石類と決定的な違いがありました。 そう生物の、特に高等生物が生きられないような環境に巻き戻してしまう、と言うことです。 それに気付けるはずの万物の霊長たる人間は、その因果に長らく気付こうとしてこなかった。
今から150年少し前、1859年ペンシルバニア州タイタスビルと言う町でわずか20メートル少しの深さで、エドウィン・ドレイクが石油の機械掘りに成功。 これが、近代の人類を破滅に導くことになるかも知れない、化石燃料大量消費社会の引き金を引きました。
例えば今日のアメリカ人は、一人平均1日に10リットルの石油を消費しています。3分の1を車のガソリンで、3分の1をセメント、プラスチック、衣料品、歯ブラシなどの製品として、残りの3分の1を食品として(肥料、飼料、大型農耕機器の軽油、漁船の燃料、運搬の軽油や冷凍用の電気の発電)使っています。
エジプトのギザのピラミッドを構成する60トンの岩を一つ、ナイル川の最寄の川辺で船から降ろし、そこから8キロ離れたギザの場所までコロに載せながら、それを引っ張るのに20000人の奴隷で、6日かかったと推測されます。
この巨大な石のブロックを今日の大型ダンプに、載せて運ぶと、約50リットルの軽油を使う。 あの一斗缶に入った液体約3缶で、奴隷20000人が6日間引っ張る仕事をしてくれる。 石油とは、筋肉の活動を肩代わりしてくれる、凄まじいエネルギーの塊です。
心奪われるのも無理はないですが、それが最後の禁断の果実だったとは。 地下資源が目に付かない地下深くにあるのには、理由があったのですね。
今の私たちがどれほどのエネルギーを燃焼によって作りだしているか、というと広島に投下された原子爆弾を毎日40万発爆発させていることになるそうです。 これはアメリカの元副大統領のアル・ゴア氏が言っていましたが、本人もこの数字は間違いではないか、と再確認したそうですが、間違いでなかった。
あの原爆が40万発炸裂しているだけのエネルギーを、1年365日、毎日放出し続けているのですよ。海はその93%を吸収している。 世界には6万以上の発電所がありますが、その8割は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やします。
そこから出る二酸化炭素に満ちた煙は、空高く舞い上がって宇宙の果てに消えていってくれるわけではありません。 こちらの写真で光って見えるように、地球の大きさから見たらとても薄い膜に覆われた中に、それらのガスは溜まっていきます。 対流圏と呼ばれるその層の厚さは、せいぜい数10キロメートルです。
そこに日々、原爆40万発です。 こうなると感覚的に、そんなことがそう長く続くはずがない、と感覚的につかめませんか。
その間に地球では、不気味な静けさが進行していました。
2000年代から温暖化が、停滞(hiatus)していたのです。 中国の急速な工業化や世界各国のほぼ無対策によって、二酸化炭素の排出量はぐんぐん増えているのに、世界の気温がここ14年間ほどそれほど上がらなかったのです。
そんなはずはない、どうなっているんだ、と思ったら、海の深いところに熱が吸収されていたのですね。アルゴフロートと呼ばれるもの(表面から水深2000mを行ったり来たりする)が、世界の海の3600ヵ所の海水温情報を観測中です。 すると、海水表面の温度が停滞した2000年頃から、深さ700~2000mの深海の水温が急上昇していたのでした。
どうしてかは、わかっていないそうですが、赤道付近の海水温があまり変化せず、その北と南の水温上昇が激しい時に深海での熱吸収は起こっており、それは10~20年の周期を持っているそうです。 従っていつこの停滞(ハイエイタス)が終わって、温度上昇が急になってもおかしくない、と身構えていたところでした。
そうしたところが、2014年頃からとうとう恐れていた急上昇が出てきてしまったようで、この2年間で地球の平均気温は、なんと0.4℃も上昇してしまった!!!
これがいかに急激かを理解するには、イギリスでの産業革命によって石炭が大量に燃やされるようになってからのこの約250年間の温度上昇が、約0.7℃程度であることと比べるとすぐわかることでしょう。 気温が1℃上がると、空気中の水蒸気は7%上昇し、雨が劇的に増えます。また、1℃の気温上昇で、沿岸部の風は10%強くなります。
最近テレビで、タイトルはうろ覚えですが、『世界のなんだこれ珍百景』とかいう番組がありました。 そこでは、シベリアでここ数年、直径数十メートルの巨大な穴ぼこが3万個も出現した、世にも不思議な光景が映し出されていました。
これは、シベリアの永久凍土が融解して、地下に閉じ込められていたメタンが吹き出した為に出来た穴ぼこ群でした。
当番が地球温暖化を調べ出した20年ほど前には、シベリアの永久凍土が溶け出したら温暖化は止まらなくなる、と言われていました。 それがまさに現実になってしまった。
しかも、この北半球の陸地の4分の1を占める永久凍土からのメタン(CO2の25倍の温室効果)の排出は、ニュースでよく聞く国連機関による温暖化による気温上昇のこれまでの計算には含まれていない!というのです。 そう、ですから温暖化は、これまでの予想より加速化こそすれ、遅くはならない。
今年の7月にアラスカでは、観測史上最高の気温31℃を記録しました。アラスカの話ですよ。温暖化は極地ほど進みます。 むべなるかな、グリーンランドや南極の氷も溶け出してしまい、
もう誰も止められない。世界の海面はいずれ60メートル以上も上昇します。 抜け出せない悪循環。 理系の人向けの表現を使わせてもらえば、地球全体に、正のフィードバックがかかってしまいました。
8年ほど前に石垣島を訪れる機会がありました。 川平湾という水とサンゴ礁のきれいな入江は、グラスボートという船底がガラスになっている船で遊覧するのが、人気の観光になっています。
その船に乗ると船頭さんが、綺麗なサンゴ礁のあるところに行くと船を止めて、どうぞ見てください、とやります。 しばらくして、いつ切り出そうかと秘めていた質問を船頭さんに切り出しました。 『サンゴの白化現象は起きていませんか?』
この一言をきっかけに、船頭さんは待ってましたとばかりに、実はこの川平湾のサンゴもこの1〜2年でほとんどやられてしまったんだ、と堰をきったように話し始めるのでした。 そして、先ほどまで指差していたサンゴも、ほらこれも白化してる、こっちも、と指摘し始めたのでした。
サンゴは、海水温が27℃を越すと死滅するそうです。 共生している褐虫藻という植物がいなくなってしまうからです。 サンゴは酸素を作り出さなくなり、その場で崩れていきます。 小魚の生息地になるサンゴ礁は、言うまでもなく、生態系の底辺を支えています。
見にくいかも知れませんが、この図は今年7月の日本付近の水深10メートル地点の海水温のデータです。しっかりと確認したい方は、こちらのURLから確認いただけます。(http://www.jamstec.go.jp/ARGO/argo_web/argo/?page_id=56)これを見ると、沖縄付近もサンゴにとって魔の27℃を楽に越えています。 さらに海底の大陸棚に眠っているメタンハイドレートという強力な温暖化物質も、噴出す臨界点(水圧と水温で決まります)にあと数℃程度まで近づいてきています。
また、台風というのはその強い風が海水をかき混ぜる関係で、水深60メートル程度までの海水温が26℃以上あると発生しやすいそうです。 水深100メートル地点の温度データで見てみると、その海域が小笠原諸島付近まで来ているのがわかります。 先月の台風10号が小笠原沖で発生したのは、不思議でないことになります。 そうなると東北や北海道に強い台風が直接やってくることが、これから増えていくことが予想されます。
ここまでひどくなる前に止めることは出来なかったのか、今更ながら悔やまれます。
2000年の米国大統領選挙で、今でも疑問の残る数百票差でゴア氏が破れ、温暖化に関して全く止めようとされない大統領が誕生し、米国はCO2排出量の規制の枠組みのあの京都議定書からも脱退してしまいました。
この失われた15年間の差は、地球の未来にとってとてつもなく大きかったかもしれません。 2000年時点では、世界最大のCO2排出国だった米国に、ゴアさんのような認識を持ったリーダーの登場は、ラストチャンスだったかもしれません。
更にこの時期は、中国が石炭を燃料にした工業化を、いっきに進めた時期と重なります。 石炭は石油よりも温暖化への貢献度が高いので、先進国は発電においても、石炭から石油や天然ガスへのシフトを進めました。
ところが中国は、自国に露天掘り出来るほとんどタダとも言える石炭があり、モンゴルや北朝鮮から輸入しても、石油の3分の1のコストなので、どんどん使い、呼吸も出来ないような北京の空気を生み出しました。 そして中国はアメリカを抜いて、温暖化ガス排出世界一となりました。
中国は世界一の二酸化炭素排出国であるだけでなく、PM2.5レベルのガスでも有名なように、その排出ガスの汚染度もNo.1です。 偏西風が吹くこの中緯度地帯で、その東側に国土を抱える日本は残念な位置にあります。(こちらを見ると日本にもたくさんPM2.5が飛来しています。http://pm25.jp)
中国はエネルギーの85%を石炭に頼っています。 あの息も出来ないような北京の汚れた空気に、漸く対策を講じなければと、昨年の全人代で中国の首相が石炭依存率を70%に下げることを目標にする、と発表していましたが、温暖化の深刻さが認識されていないことがわかります。 生死に関わる事態にありながら、経済優先とまだ言ってるわけですから。
この中国の工業化とアメリカの消極策の2つが、致命的となり、地球は人間が安全には住めない世界へと大きく歩みを進めることになってしまいました。 勿論、全ての二酸化炭素排出国も十分な対策をとった国はどこもなかったので、その責任を担っていることに変わりはありませんが。
これはちょうど乱獲によって世界の漁獲量は、1988年から実際は減り続けていたにもかかわらず、中国の漁獲量の大幅水増し報告で、2002年まで、世界がその危機的状況に気付かずに、空白の14年間を作ってしまったのに似ています。
人間の行動には本能によって引き起こされるものと、万物の霊長としての頭脳によって導かれるものがあります。 この温暖化の危機は、本能は少しも危機と感じません。 本能は差し当たっての身の危険にしか反応しないからです。 こういう長いスパンで、じわじわ生じる身の危険には全く本能は頼れません。
五感を超えて本能が感じる感覚を第6感と呼ぶのであれば、本能では知りえないその先を感じる能力を第7感と呼んでいます。 静坐は、この第7感を養成するのにも、役に立ちます。
では、現代のノアの箱舟をどこに求めればいいの?
人間を含めて地上の生物を有害な紫外線から守ってくれているオゾン層に穴を開けるフロン(フレオン、冷房装置に欠かせないものでした)の使用は、世界で段階的に全面禁止となりました。 こんな風に、人類もやれば出来るんです。 今度は、オゾンを化石燃料に置き換える番です。
1.化石燃料マックス控えめで。
当番の子供の時は、風呂は薪で沸かしてました。ご飯もお釜でやはり薪で炊いてました。横浜の下町での話です。 一緒に住んでいた祖父が近くの里山から木を切り出させてもらい、それを自転車の荷台に乗せて家の裏庭の薪小屋に積んでありました。 車もマイカー時代の前で、同級生の中でも商売している家にしか車はなく、公共の交通で移動するのが当たり前でした。 電気の使用も、白黒テレビや電灯ていどで、まだ電気冷蔵庫の普及前で、勿論クーラーもないので、大した電気の消費はありませんでした。 唯一灯油を使っていたのが、煮炊きをする調理用のコンロだけです。 かなりカーボンニュートラルな生活が出来ていました。
2.皆んなで暮らす:
友達と住んだり、パートナーと住んだり。 共同生活を希望する友人のいない人は、居間とキッチンが共同のシェアハウスのような所で生活する。 要は住まいの暖房は一人では効率が悪いし、煮炊きも同様で、大勢のほうが楽しい。 個の時代は、エネルギーの観点から終わりました。
3.家族とも周囲とも仲良く暮らす。
もう喧嘩やいさかいをやっている場合でない、と温暖化の深刻さに気づくと理解出来ます。
4.静坐をする。
こういう時代を生きていく自分の優先順位をはっきり自覚するのに、とても役に立ちます。