インドで突然お札が紙切れに!?

2016.12.06

新2000ルピー札

新2000ルピー札

インドでは今、国中がてんやわんやの大騒ぎになっているのをご存知でしょうか。
2016/11/8の夜8時にモディ首相が、テレビに登場し、これから4時間後の、翌9日午前0時より、1000と500ルピー札を無効にすると発表しました。 国民は寝耳に水です。

インドでは一番大きいお札が、1000ルピー紙幣。 その次に大きいのが、500ルピー紙幣です。 この2つの紙幣が、発表から4時間後にインド中のほぼ全てのお店での買い物に使えなくなる、というのですから、びっくりです。 これは流通する現金の86%に相当するそうです。

どこの銀行も大行列

どこの銀行も大行列

その詳細を少し調べてみると、こんな具合でした。

一日に4000ルピーまで旧札の交換が出来る。  また銀行への旧札での預入は、12月一杯までは、無制限。 250000ルピー以上の預入には税務調査が入る。
所得税が未払いの場合、その額にプラスして、税額の200%のペナルティーが課せられる。
これで実質隠していたお金はほぼ補足される。

所得税逃れの補足が目的。 インドでは国民の1.7%しか所得税を払っていない。

ざっと、こんな具合です。

これを実行するには、、新しく発行する新札の500と2000ルピー札を(1000ルピー札は廃止)秘密裏に大量に印刷しておく必要があります。 政府のトップクラスでさえ、知らされていなかったとか。

銀行窓口に殺到する人々

旧札交換に銀行窓口に殺到する人々

噂やゴシップが直ぐに拡散するネット時代に、完全に情報を漏らさずに、これだけのサプライズを実行したのはお見事です。
もし、漏れていたらタンス預金を貴金属などに代える時間を与えてしまっていたから。

こんな大胆なことを平時にやってのけるモディ首相は大したものだと思います。 この国民へのテレビ放送では、この処置は国民の(あなたの)お金が一銭足りとも没収される、ということではないのですよ、と強調していました。

それまでタンス預金をしていた人がたくさんいたわけですが、そのお金を銀行の口座に預金しさえすれば、一銭たりとも没収される訳ではありませんから。 しかも、それを12月31日までに行えば、旧札でも構わないという訳です。

戦争国債の購入を促すこういうニュースに接すると日本で、敗戦から半年後の昭和21年2月16日(土)の夕方、ラジオから渋沢敬三蔵相が突然発表した、『預金封鎖・新円切り替え、財産税など新たに4つの新税の宣言』を思い出してしまいます。

国民にとっては寝耳に水ですが、サイパンが陥落した昭和19年に当時の大蔵省の中に戦時経済調査室が作られて、敗戦後の準備として練られていたそうです。

預金の引き出しは、毎月世帯主300円、それ以外の家族は1人100円しかひき出せない。給料も現金払いは1人当たり500円に制限され、『500円生活』と呼ばれたそうです。

これによって戦費の為に発行された当時の1400億円の国債残高と、2000億円ほどあった政府の短期借入金を、ものの見事に整理されています。

現代に目を向けるとどうでしょう。 この国の国債の借金は、1000兆円を越えています、という話に国民は麻痺しているのか、何も深刻さを感じていないかのようです。 赤ちゃんも含めて、国民一人当たり800万円強の借金があるんですよ!と言ってもピンとこないかも知れません。

ワニの口は開く一方

税収と国債発行額

50兆円の税収しかない日本が、100兆円以上を毎年支出しています。 そんな収入の倍の国庫支出を20年近く続けています。 年収500万円の過程が、毎年1000万円支出する生活を20年続けることは不可能です。

画像検索で、『ワニの口』と入れると、実際のワニの口の写真と並んで、日本国の財政チャートが出てきます。 ワニの口とは財務省の役所の方達が、そう呼んでいます。 確かに平成2年ごろから急に税収と支出の乖離が激しくなり、それを国債で穴埋めするグラフが、確かにこれから子豚でも吞み込もうとするワニの口のようです。

しかし、このワニの口に吸い込まれるのは、国民の財産なんですね。 どう考えても。
脅かすつもりはありませんが、突然のアナウンスのXデーは遠くない将来にあるかも知れない、と考えるのは行き過ぎでしょうか。

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